23年9月
長年の課題だったのが、ホンダの副変速機用Fスプロケの延命方法でした。副変速機をご存知ない方は、自転車の外装5段変速をイメージして下さい。
66年以前の「ハンターカブ」C105HやCT200にはこの様に大小2枚のRスプロケットが装着され、山登りでギヤ比を替える機能がありました。しかし切替は簡単でなく、一旦後輪を外して大スプロケを小スプロケに被せて固定し、最後にチェーンの不足分を継ぎ足して張り直す手順です。当然ながら工具が必要だし、手がベタベタになるので使い難さが不評でした。
そこで67年から開発されたのが副変速機です。CT90とCT50からですが、これはFスプロケ側にレバーで切替が可能なサブミッションを追加したエンジンなのです。
このタイプは3輪バギーのUS90⇧にも採用され「007映画」にも登場しました。その後もATC90~125やCT90~110へ更には縦型エンジンにも続き、米国や豪州で好評だった様です。
国内ではCT110輸出仕様やモトラ50が知られていますが、もはや絶版モデルなので消耗部品であるFスプロケットの供給に不安が残ります。大多数派のCT110用はまだ入手が容易ですが、それ以外の車種は擦り減ったスプロケを騙すか、プレミアム価格の中古部品に頼るしか維持できないのが現状です。
話しが跳びますが、5月の「関西カフェ」に行くフェリーで“ガッピさん”と逢い、差しでお話しする機会に恵まれました。氏とは12年の「九州カフェ」で初顔合わせ、ジョルカブ顏の鉄カブを見て只者ではないと感じていました。
その後に秘密基地も訪問し、工作機械の数々も拝見しました。旋盤・フライス盤・溶接機にベンダー等々で個人としては大先輩の“TAKAOさん”と並ぶ設備と思います。イジリアンとしても秀逸で、鍋やフライパンで作ったサブタンク。カムやクランクまで加工し、マフラーの可変デバイスやサブチャンバーもアイデアで具現化する技術は真似できません。
前後ディスクやオレンジ塗装も自作で当に何でも屋です。ある時はCT110改の試乗しましたが、軽く吹け上がるエンジンはPROショップである“スズリンさん”や“JUNさん”をも超えると感じました。
まあお互いに雑誌に載った事もありますが、大いに刺激されるイジリアンだと断定します。
で主題に戻ります。ご存知の方も居ますが、我青CT110改には副変速機付のATC125⇧のエンジンを搭載しているので、特殊なFスプロケが必要なのです。
このエンジンは米国でしか流通しなかったので部品の入手も米オク頼り、20年前から新品部品も集めていました。ATC125純正は428の14丁しかなく、CT110に使うとギヤ比を合わすのが大変です。最初は新品を旋盤で420に削って貰い、Rスプロケを38→36→31丁と変更しながら何年か使いました。しかし刃先が薄いので摩耗が早く長期の使用は不安でした。
そしてやっと見つけたのが社外品⇧の15丁、これなら428のまま使えるので耐久性も大丈夫筈でした。しかしスプラインが0.2mm厚く、業者に見せても断られたのでグラインダーとリューターで自加工、装着まで2年も悩みました。
一番左は4輪バギーのTRX125用で428の13丁ですが、益々ローギアードなので使えません。
フェリー内で“ガッピさん”から聞いた話しは、モトラのFスプロケの再生を試みていると・・。これは私も妄想していた課題だったので喰い付きました、焼入れの硬いギアをくり抜き溶接で合体させるのです。バイト刃や機械本体も痛むので実現可能なのか注目していると、後日に成功してモトラでの試運転でも大丈夫だったと聞きました。モトラは小径ホイールだし、2種登録も考えると420の16丁に決めたそうです。
そこで今回の依頼品です。擦り減ったATC125純正428の14丁⇧を預け420の16丁に加工をお願いしました。今まで15丁だったので16丁ならRスプロケで調整が可能です。
そして完成品がこちら⇧、溶接は片面の3ヶ所に留め将来的なリペアも視野に入れています。カブ程度の馬力なら全面溶接は逆効果だと感じます。
当面は治具の関係で420の16丁のみ加工を受けると聞いています。副変速機(サブミッション)のFスプロケでお困りの方は相談して見てはどうですか、車種はCT50・CT90~110・ATC90~125及びモトラ50が該当すると思われます。
“ガッピさん”のブログはこちら⇧。バイト刃や工作機械の消耗修理費を考えると安価では無理でしょうが、コレクターアイテムの旧車維持を考えるとスペア部品のキープは猶予がないと考えています。擦り減ったFスプロケの持込みが基本なのでその用意は必要です。
おわり
長年の課題だったのが、ホンダの副変速機用Fスプロケの延命方法でした。副変速機をご存知ない方は、自転車の外装5段変速をイメージして下さい。
66年以前の「ハンターカブ」C105HやCT200にはこの様に大小2枚のRスプロケットが装着され、山登りでギヤ比を替える機能がありました。しかし切替は簡単でなく、一旦後輪を外して大スプロケを小スプロケに被せて固定し、最後にチェーンの不足分を継ぎ足して張り直す手順です。当然ながら工具が必要だし、手がベタベタになるので使い難さが不評でした。
そこで67年から開発されたのが副変速機です。CT90とCT50からですが、これはFスプロケ側にレバーで切替が可能なサブミッションを追加したエンジンなのです。
このタイプは3輪バギーのUS90⇧にも採用され「007映画」にも登場しました。その後もATC90~125やCT90~110へ更には縦型エンジンにも続き、米国や豪州で好評だった様です。
国内ではCT110輸出仕様やモトラ50が知られていますが、もはや絶版モデルなので消耗部品であるFスプロケットの供給に不安が残ります。大多数派のCT110用はまだ入手が容易ですが、それ以外の車種は擦り減ったスプロケを騙すか、プレミアム価格の中古部品に頼るしか維持できないのが現状です。
話しが跳びますが、5月の「関西カフェ」に行くフェリーで“ガッピさん”と逢い、差しでお話しする機会に恵まれました。氏とは12年の「九州カフェ」で初顔合わせ、ジョルカブ顏の鉄カブを見て只者ではないと感じていました。
その後に秘密基地も訪問し、工作機械の数々も拝見しました。旋盤・フライス盤・溶接機にベンダー等々で個人としては大先輩の“TAKAOさん”と並ぶ設備と思います。イジリアンとしても秀逸で、鍋やフライパンで作ったサブタンク。カムやクランクまで加工し、マフラーの可変デバイスやサブチャンバーもアイデアで具現化する技術は真似できません。
まあお互いに雑誌に載った事もありますが、大いに刺激されるイジリアンだと断定します。
で主題に戻ります。ご存知の方も居ますが、我青CT110改には副変速機付のATC125⇧のエンジンを搭載しているので、特殊なFスプロケが必要なのです。
このエンジンは米国でしか流通しなかったので部品の入手も米オク頼り、20年前から新品部品も集めていました。ATC125純正は428の14丁しかなく、CT110に使うとギヤ比を合わすのが大変です。最初は新品を旋盤で420に削って貰い、Rスプロケを38→36→31丁と変更しながら何年か使いました。しかし刃先が薄いので摩耗が早く長期の使用は不安でした。
一番左は4輪バギーのTRX125用で428の13丁ですが、益々ローギアードなので使えません。
フェリー内で“ガッピさん”から聞いた話しは、モトラのFスプロケの再生を試みていると・・。これは私も妄想していた課題だったので喰い付きました、焼入れの硬いギアをくり抜き溶接で合体させるのです。バイト刃や機械本体も痛むので実現可能なのか注目していると、後日に成功してモトラでの試運転でも大丈夫だったと聞きました。モトラは小径ホイールだし、2種登録も考えると420の16丁に決めたそうです。
そこで今回の依頼品です。擦り減ったATC125純正428の14丁⇧を預け420の16丁に加工をお願いしました。今まで15丁だったので16丁ならRスプロケで調整が可能です。
そして完成品がこちら⇧、溶接は片面の3ヶ所に留め将来的なリペアも視野に入れています。カブ程度の馬力なら全面溶接は逆効果だと感じます。
当面は治具の関係で420の16丁のみ加工を受けると聞いています。副変速機(サブミッション)のFスプロケでお困りの方は相談して見てはどうですか、車種はCT50・CT90~110・ATC90~125及びモトラ50が該当すると思われます。
“ガッピさん”のブログはこちら⇧。バイト刃や工作機械の消耗修理費を考えると安価では無理でしょうが、コレクターアイテムの旧車維持を考えるとスペア部品のキープは猶予がないと考えています。擦り減ったFスプロケの持込みが基本なのでその用意は必要です。
おわり